日本維新の会の高木かおり参議院議員が、政治資金収支報告書に記載している人件費の全額を、政党交付金で賄っていると使途報告しているにもかかわらず、文書通信交通滞在費からも人件費として使途報告をしていることが分かった。高木議員が代表を務める「日本維新の会参議院大阪府第3選挙区支部」(以下、維新政党支部)の政治資金収支報告書や政党交付金使途報告書などを分析して明らかになった。高木かおり事務所に問い合わせると、「組織活動費と書くべきところを記載ミスした」と回答したが、その組織活動費もまた、全額を政党交付金で賄っている上、文書通信交通滞在費の出費として、二重計上していることが分かった。このでたらめさなんなのだろうか?(鈴木祐太)
■政党交付金で人件費を全部賄っていると思ったら…
高木議員が代表を務める大阪府の維新政党支部の政治資金収支報告書を見ると、人件費を2017年には431万4408円、2018年には523万4236円計上している。
維新政党支部の政党交付金の使途報告書によると、全く同額の人件費を2017、2018年に計上していた。つまり、維新政党支部の人件費は全て政党交付金で賄われていたことになる。
一方、日本維新の会が公表している文書通信交通滞在費(以下、「文通費」)の使途報告書を見ると、2017年は高木議員が代表を務める維新政党支部に620万1637円を繰り入れ、そのうち国政スタッフ人件費として470万6428円を計上している。また、2018年には683万4068円を繰り入れ、406万7266円を国政スタッフ人件費として計上していた。
つまり、政党交付金で高木議員が代表を務める維新政党支部の人件費の全額を賄っているとしながら、「文通費」からも人件費を計上しているのだ。これは辻褄が合わない。
■人件費を二重計上していた
高木事務所に、この件について質問したところ、「文書通信交通滞在費使途報告書に記載されている『人件費』は確認しましたところ、記載ミスであり、正しくは『組織活動費』によるものでございました。早急に修正して再公開させて頂きたく存じます」と回答があった。
ところがである。高木議員の維新政党支部の政党交付金の使途報告書をみると、2017年は組織活動費として49万6197円の支出があり、その全額を政党交付金で支払っていると記載。2018年にも全く同額を政党交付金で支払っているとある。つまり、2年間とも、組織活動費の全額を政党助成金で支出しており、高木事務所が言う「文通費を組織活動費として支出した」という主張とは辻褄が合わない。
政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、次のように問題点を指摘した。
「高木議員の政党支部の人件費を『文通費』で賄っているなら、政党交付金使途報告書の使途報告が虚偽になるし、あるいはその逆に、政党交付金で賄っているなら、『文通費』の使途報告が虚偽になります。いずれにしろ、虚偽の理由で支払に充てたように見せかけています。
高木議員は『記載ミス』と弁明していますが、その弁明は信じられません。なぜなら、第一に、高木議員は2016年7月分から今年3月分まで、毎月『国政活動スタッフ人件費』だと『文通費』の使途報告書に明記してきました。3年半以上も記載ミスに気付かないわけがありません。
第二に、高木議員の政党支部の『組織活動費』の年間支出額は、2017年は63万円弱、2018年は50万円弱しかありませんので、まったく数字が合致しません。
第三に、政党支部の政党交付金使途報告書によると、2017、2018年とも『組織活動費』の支出は全額政党交付金で賄われていました。
要するに、問題点を指摘されて、税金からの二重払いにならない弁明をしたつもりでしょうが、その弁明も嘘だった可能性があります。根っからの嘘つきなのかもしれません」
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