| カトマンズ市内の中心にあるラトナ公園で、国王の「クーデター」に抗議して路上に座り込むネパール会議派のコイララ党首（中央、黒い帯を腕に巻いている）。 |
◆「10月４日に憲法は死んだ」
デウバ首相解任の１週間後、ギャネンドラ国王は王室が信頼する国民民主党のロケンドラ・バハドゥル・チャンダを首相に任命した。チャンダは90年の民主化以前、国王に絶対権力があったパンチャヤト制度下で２度首相を経験した政治家だ。
国王は「憲法行使にあたって困難が生じた場合、国王はその困難を取り除くために必要な“指示”を出すことができる」とする「憲法127条」を行使したと説明したが、解散された議会に議席を置くネパール会議派をはじめとする主要政党はこの国王の動きを「違法」とし、「民主化運動で勝ち取った憲法は１０月４日に死んだ」と主張した。
現憲法はもともと、90年の民主化後、民主化勢力である現在の主要政党が王室と協議のうえに作成したものだ。作成の過程で政党側が妥協したために、ヒンドゥー教を国教とすること（ネパールの国王はヒンドゥー教のビシュヌ神の生まれ変わりとされている）や、王室ネパール軍の実質的な指令権、「127条」のような特権が国王の手に残った。
反政府武装勢力のネパール共産党毛沢東主義派ことマオイストは、この憲法を民主的憲法とは認めず、新憲法制定のための制憲議会選挙を実施することを最大要求として掲げている。
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