(会場からの質問)
――フリージャーナリストを支援するような市民的な組織、あるいは相互の互助的な組織は存在するのでしょうか。またこれから存在する可能性はあるのでしょうか。
恒常的な活動として続けるために、経済的に支える組織が必要なのではないかと感じています(質問者は大学教員)。
野中 その通りだと思います。今回のジャーナリスト達の行動についても改善すべき点はあります。事故が起こるのは必ずミスがあるからです。
事故を防ぐためにも、フリーランスのジャーナリスト同士の互助的なつながりを持とうという動きもないわけではありません。広河隆一さんが始めた日本ビジュアルジャーナリスト協会というような組織もあります。
ただフリーランスというと一匹狼的なイメージが強く、経験や考え方においてもさまざまタイプの人がいます。イラク戦争についても賛成する人もいるわけで、なかなかひとつにまとまりにくいという事情もあります。
ぼく自身は一匹狼的なフリーのスタイルというのはもう古いのではないかと思っています。志の部分はひとりひとりきちんとあるわけですけれども、取材のやり方やマスメディアとの隷属的な関係など、改善しなければならない点は多々あると思います。海外取材でも取材のバックアップ態勢などを固めないと事故などを防ぐことは難しいですね。そのような意味からもネットワーク化への動きを行っていきたいと考えています。
――パレスチナの状況についてはどう思いますか?
野中 アジアプレスでは古居みずえというジャーナリストがパレスチナで取材中です。4日前の電話では、いま子ども達の葬儀を行っているということでした。
イスラエルによって攻撃されたガザ地区の中で子ども達がたくさん死んでいるけれど、危なくて外に出られないので、遺体を何日も冷蔵庫の一番下に入れて保存していたそうです。ようやく、外に出ることができ、冷蔵庫から遺体を出して葬儀をしているところだと話していました。
僕も3月にパレスチナへ行ってきましたが、世界は非常に不公平ですね。パレスチナの状況を見ると、どこに世界の常識があるのかと感じざるをえませんでした。イラクやフセイン政権に対する攻撃が国際的(いまは米国の支持国の意味)に認められる中で、パレスチナの問題が同じように語られないのは、非常な偏りがあります。
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