裏山から見たベニ・バザールの町並み。右手を流れるのがミャグディ川。この川に沿って、軍警察署などが並ぶ。マオイストはバザールの高い民家の屋上から銃撃した。

軍兵舎と警察への激しい攻撃始まる

7つのグループに分かれて襲撃に向かう
3月20日の夜は新月だった。6000人を超える襲撃部隊は7つのグループに分かれて、暗闇の中を目的地に向かった。このうち2つのグループは、ベニのあるミャグディ郡に接するバグルン郡とパルバト郡で、郡庁所在地に駐屯する治安部隊が応援にかけつけることができないよう阻止する部隊。

さらに2つのグループは、ベニの北3キロのところにあるガレスワルに駐屯する治安部隊を阻止する部隊だった。他の3つがベニを襲撃するグループである。

このうち約300 人からなる大隊はベニ・バザールの南東、カリガンダキ川の南岸にあるミャグディ郡刑務所を襲撃。もう一つの襲撃グループである第四旅団はカリガンダキ川の西岸へ行った。そして、人民解放軍西師団のパサン指揮官率いる主要部隊は、ダルバン・バザールから東のベニへと向かった。

最大人数からなるこの部隊は、シンガ村の温泉で有名なタトパニ付近で二手に分かれた。
さまざまな事実から推測すると、第1旅団と第2旅団はパサンとともに、タトパニ付近からミャグディ川沿いの道を北にそれて山道を行き、アルトゥンゲ山を通ってベニの北西にそびえる裏山からバザールに入ったものと思われる。

この部隊はベニに入るといくつものグループに分かれて、バザールの南東の端にある郡警察署をはじめとする政府関連役所の建物を襲撃。さらに、バザールの南西端にある王室ネパール軍の兵舎をベニ・バザール側、すなわち東側から襲撃した。

マオイストが郡庁所在地を襲撃するとき、最大のターゲットは王室ネパール軍兵舎と郡警察署である。これまでに、ベニを含めて9箇所の郡庁所在地を襲撃しているが、すべての襲撃でマオイストは郡警察署を占拠している。

しかし、近代武器で装備した軍兵舎の占拠に成功したのは、ゴラヒ(ダン郡)、マンガルセン(アチャム郡)、そしてサンディカルカ(アルガカンチ郡)の3箇所だけである。ベニ襲撃でも彼らは軍の大隊が駐屯する兵舎を、最も困難なターゲットとみなしていたはずだ。西師団に4つある旅団のうち、もう一つの第3旅団は、タトパニで第1、第2旅団と分かれたあと、ミャグディ川沿いにまっすぐベニに向かった。そして、軍兵舎の西側にあるマンガラガート・バザールから、軍兵舎を襲撃したと思われる。
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