「この出来事を経験して思ったことは、本当に日本という国が封建制というか、お上には従うというような体質が染み付いているのだなということを実感させられました。
学校や教育委員会に物を言うということが、とんでもないことだという考えが蔓延していて、そのような考えが圧倒的多数を占めているのだな、と。
これは子どもが学校へ通うようになってから、改めて感じたことです。ただピアニストとして暮らしているだけでは、気づかなかったことでした」
入学式の挨拶以降、高橋さんのもとへは保護者からも「学校の評判を傷つけた」などとの批判的な意見が多数寄せられた。
高橋さんは、その批判の多さに「自分の考えが間違っていたのだろうか、物議をかもすような発言をするべきではなかったのではないか」、「これ以上この問題に踏み込むのを止めれば、私の周辺にいる人々は安堵するのかも知れない」と考え、一時期悩んだとも話した。
高橋さんは、一連の出来事の結びとして、
「今、日本中が得体の知れない大きな渦のようなものに押し流されているような風潮があると思うのですが、少しでもこの流れを食い止めるような姿勢でいたいなと思っています。
例え、少数派であろうとも、ひとりの音楽家として自分の感受性を信じて、その内面を表現するという芸術家、表現者である以上は、当然のことではないかと思います」
と、語った。
東京都の教育現場では今、地方公務員である教職員の「内心の自由・表現の自由」を縛るだけでなく、生徒・保護者の権利をも奪いかねない事態が生じている。
(中平真由果)
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