イラク戦争で爆撃をしてきた米軍の艦載機
050406g3_03.jpg【写真:訓練に飛び立つ米軍の電子戦闘機 】
空母キティーホークの艦載機は、イラク戦争にも参戦した。2003年3月に米軍がイラクを侵略したこの戦争で、F/Aー18ホーネットなどキティーホークの艦載機の出撃回数は5375回、投下した爆弾の量は約390トンにも及ぶ(『イラク戦争の出撃拠点』山根隆志・石川巌 新日本出版社)。

この爆撃によって多くのイラク人が命を奪われ、負傷した。つまり、厚木や横須賀などにある在日米軍基地は、イラク戦争の出撃拠点であり、後方基地でもある。そんな在日米軍基地の維持経費として、日本は年間約6600億円もの国費つまり税金を支出している。日本はアメリカの戦争に加担することで、米軍に殺傷されるイラクの人びとに対して間接的に加害者の側に立っているのである。

キティーホークは横須賀の米海軍基地を母港としている。入港中、艦載機は厚木基地に移動して、離着陸訓練や旋回訓練を繰り返す。さらに、厚木基地を飛び立って、山口県にある米海兵隊の岩国基地との間を往復する途中に、紀伊半島から四国山地上空で低空飛行訓練をする。

同様の訓練は中部地方から東北地方にかけての上空でもおこなっている。また、群馬県の山岳地帯上空では、対地攻撃用の訓練もしている。
基地監視活動をおこなう市民団体「リムピース」の調査によると、2004年の厚木基地における艦載機の総離陸数(飛行機数)は4420機。そのうち低空飛行訓練が240回で、対地攻撃用の訓練は271回である。

また、2002年に日本政府が公表した管制実績の記録によると、1999年~2001年の3年間では、米軍機の厚木基地離着陸回数は、年平均28928回、月平均2411回である。自衛隊機の場合は年平均28558回、月平均2380回。こうした数字からも、爆音の被害がいかに深刻かがわかる。

米軍機のパイロットは日本の上空を我が物顔に飛び回り、操縦や攻撃技術の腕を磨き、イラク戦争などの実戦に加わる。そして、戦争から帰ってきてまた訓練を重ね、次なる戦争に備えている。
つまり、戦争という殺人と破壊を目的とする技能の向上と維持のために、日本の土地が、空が使われているのである。これはベトナム戦争の頃から続いていることだ。厚木基地を飛び立つ米軍機は、まさに血塗られた軍用機であり、非人間性の象徴である。

米軍機の爆音に苦しむ基地周辺の住民からなる市民団体、「厚木基地爆音防止期成同盟」(1960年に結成。現在の会員は約3000世帯)は、米軍・米政府と日本政府に対して、「平和で静かな空を返せ」と爆音の解消を求めるとともに、「基地の撤去」と「戦争反対」を訴えつづけている。爆音(騒音)問題だけではなく、厚木基地が米軍の戦争の出撃拠点になっていることで、周辺地域の住民が否応なく戦争の加害者の側に立たされているという問題も重視するからだ。
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