玉本英子が取材現場から送る日誌。現在イラクで取材中
2006年2月15日 <オジャラン議長逮捕7周年>
今日2月15日は、クルド労働者党(PKK)の元党首アブドゥラ・オジャラン議長がトルコ当局に逮捕されて7周年。PKKの支持者が多いトルコ南東部を中心にオジャラン議長釈放を訴える抗議デモなどが行われた。
ここイラクのクルド人はクルド民主党(KDP)のバルザニ、クルド愛国同盟(PUK)のタラバニ(現イラク大統領)の支持者が圧倒的だが、オジャラン議長を支持する人たちもいる。
今日にあわせて、キルクーク、マフムール、モスルや、クルド自治区各地で、集会や、デモ、ハンストが行われた。その模様は、クルド語衛星放送局ロジテレビの午後のニュースで放送された。
これらイラク各地の映像は、現地からインターネット回線を通してロジテレビのベルギースタジオへ送られたものだ。
アル・ジャジーラやアル・アラビアは自前の中継車がいくつもあり、どこからでも映像送信ができる。日本のメディアがイラクから映像送信する場合、通信社の衛星回線を使う。10分間の映像送信に1000ドル(約11万円)かかる。
一方、ロジテレビのように、ネット回線で映像を送れば、画質は粗く、カクカクすることがあるが、テレビの視聴には十分耐えうる。
インターネットカフェから映像を送る場合、送信時間はかかるが、6000ディナール(約450円)あれば、3分間の映像を送ることができる。
夕方のニュースでは、イラクやトルコ各地の映像とともに、当局の監視が厳しいシリアで行われたクルド人のデモの模様が放送されていた。
イラク、シリア、イラン、トルコと分断されたクルド人たち。テレビに映し出された彼らの叫びが、国境を越え、ひとつになるのを強く感じた。