<核問題、さてイラン国内の雰囲気は?>
その3 アメリカの攻撃はあるか
oomura22.jpg【テヘランでは多くのクルド人が八百屋で働く】
テヘランの街角は普段と変わらない。公園では老人たちがチェスを楽しみ、街路樹の桑の実を子供たちが取り合い、八百屋の店先にはクルディスタン地方から出荷されたイチゴが山積みされ始め、あちこちで少しずつワールドカップの話題が登り始めた。

この日常がある日突然、失われるということは想像しづらい。
しかし、バグダットもそうだったと聞く。アメリカ侵攻の直前まで、普段と変わらぬ日常が繰り広げられていたそうだ。

国連安保理でイランへの軍事的制裁措置が取られる可能性は現在ほとんどないと言ってよいが、アメリカが単独で攻撃を開始する可能性は、アメリカ自身が否定していない。
当のテヘラン市民はこの潜在的な危機に対し、どう考えているのだろうか。

「アメリカが攻めてくる可能性? ないと思います。イランはアフガニスタンやイラクとは政治状況が違います。イギリスや中国、ロシア、ヨーロッパ諸国とも良い関係を保っているし。特に、今、ロシアと中国はイランに武器を売ってくれている。仮にアメリカが攻めてきても、武器を売って支援してくれると思いますよ」
海外留学を直前に控えた女子大生のMさんはそう答える。

テヘラン大学の金曜礼拝で警備員をしている55歳の男性も、
「アメリカはイランを攻撃することはできないよ。イランは、アフガニスタンやイラクとは違うんだ。国民はまとまっているし、軍備も整っている。他国との友好的な関係もある。彼らは絶対勝つことはできない。もし、アメリカが攻撃するとしたら、まず核施設を爆撃するだろうね。

でもそのあと地上軍を派遣してテヘランを制圧するまで何日もかかるだろう。その前にイランがホルモズ海峡を封鎖してしまったらどうなる?彼らの地上軍がテヘランに達する前に、世界は大混乱になって、戦争の継続をアメリカに許さないだろう」と自信満々に答えた。
アメリカの攻撃の可能性についてテヘラン市民に聞いてみると、判で押したようにこうした答えが返ってくる。
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