核問題、さてイラン国内の雰囲気は?
その1 喜びに沸くイラン
4月10日、イランのアフマディネジャード大統領は国民に向け、「明日、大変喜ばしいニュースを皆様にお伝えします」と発表した。
その日はきっと、「喜ばしいニュースって何だ?もったいぶりやがって」と家庭や職場、またホワイトハウスでも話題にのぼったに違いない。
そして翌日、イラン国民と世界中が注
目を集める最高の舞台で、アフマディネジャード大統領は高らかに宣言したのでる。
「イランはとうとう3.6パーセントの低濃縮ウランの製造に成功しました!」と。
その晩の国営ラジオのニュースでは、「人々は広場に繰り出したり、電話をしあうなどして、ともに喜びを分かち合いました。また、街路ではお祝いのお菓子を配る市民の姿も見られた」などと報じられた。
大袈裟な……、と笑ってラジオを聴いた翌日、私もそのお菓子をもらうことになった。
「先進技術の獲得」に関するニュースを、イランの国営メディアは好んで流す。国威高揚のためは勿論だが、恐らく国民もこの手のニュースは好きなのだろう。
中世まで、イスラム世界の科学の獲得に対する熱意はすさまじく、文明としてはキリスト教世界を凌駕していた。そのため、イランを含めたイスラム諸国では、なぜ現代、かくもイスラム世界は西洋キリスト教世界に遅れをとってしまったのか、がかなり重要なテーマとして議論されている。
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