ライオンとシンカンセン

p-0610.jpg台北の「交流協会」(日本大使館に相当)がこの26日、台湾高速鉄道の開業式が12月7日に台中でおこなわれ、小泉前首相らが来賓として招かれていると発表――と日本の各メディアは報じた。

台湾メディアは仰天した。台湾高速鉄道がいつ開業するのか、それは未公表の注目の関心事だった。それが日本から12月7日と突然に発信されたのだから、高速鉄道本社に問合せが殺到した。

結果。会社側の説明によると、「開業式」と「開業」は別々だという。すなわち12月7日に開業のセレモニーは大々的にやっても、実際にいつ開業するかは、未定なのである。
台湾事情に疎い日本メディアの中には、「台湾新幹線12月7日開業」と報道したところもあったが、それは「早とちり」だったということになる。

台湾高速鉄道は、台北と高雄間を一時間半で結ぶ。車両がJRのものを採用しているため、台湾新幹線と呼びたくなるが、ヨーロッパのシステムが混入していたり、台湾独自の工夫が施されていたりするため、「新幹線」とは呼べないというのが実情のようである。

いずれにしろ高速鉄道が無事台湾を走れば、それは画期的なことである。ただ、驚くべきことは、それがいつ開業するのか誰にもわからないということだ。
もともとは昨年のはずだった。それが今年の10月に延びた。しかしそれも反故にされ、半年以内にはなんとか目途をつけたいというのが現在の公式見解。日本では信じられないことであるが、それが台湾なのである。

私は日本人的やりかたを「箱詰め式」、台湾のやり方を「積み木式」と呼んでいる。テレビ番組を例にとるとわかりやすいが、日本は一つの番組に「47分30秒」といった枠を先に決めて、その枠にあわせて中身を詰め込んでいく。編集するのもたいへんだが、「紅白」のように「公開」「生」だとたいへんな緊張を強いられる。

一方、台湾の人たちは、やるべきこと、やりたいことを積み木のようにとにかく積んでいく。結果として、58分50秒になったり、61分30秒になったりするのだが、すると番組は時報通りに始まらないし、時報を優先するとCMが途中で切られることになる。
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