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<核施設の街・ナタンズへの旅>
その3 アメリカへの不信感

その日の午後、私はナタンズの町から程近い、キャルキャス山中のアービヤーネ村に向かった。アービヤーネ村は、山の斜面にある、赤土の壁で統一された美しい景観の村として有名で、観光客にも人気がある。

しばらく村を散策してみるが、平日のせいもあって実に閑散としている。観光客向けに整備された村のメイン道路には、ぽつりぽつりとお土産のドライフルーツを売る老人がたたずんでいる以外、誰一人目にしない。聞けば、若い人たちは皆、都市部へ働きに出ているという。

町で売られている電気乾燥のドライフルーツとは違い、ここのドライフルーツは天日干しで、そのためか甘みが強くておいしい。しかし季節柄かリンゴと梨しかない。他にお土産らしいものは見当たらず、安い食堂や宿もない。せっかく海外の旅行ガイドにも乗っている有名な村なのに、これでは観光客がお金を落とそうにも、落としようがない。

村を出ようとしたところ、中年男性ばかりが乗った一台の乗用車が私の傍らで停まった。私がナタンズ方面に向かうと知ると、乗せていってくれるという。彼らはサーデラート銀行の監査役で、アービヤーネ村支店の監査のため、村から40キロほど離れたバードルード市からやってきていた。車を運転しているのは、アービヤーネ村支店の支店長である。
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