爆音のない静かな空を
~厚木基地周辺住民、半世紀の訴え~ <第3回>
深刻な騒音被害と墜落事故の危険
住民からの米軍機と自衛隊機の騒音に関する苦情の電話やメールも、各自治体に寄せられる。例えば以下のような内容であり、悩みと不満と怒りの声が渦巻いている。
「テレビや電話の音が聞こえない」「家族の団欒ができない」「小さな子がおびえて泣きやまない」「子どもが引きつけを起こして入院した」「うるさくて勉強できない」「眠れない」「夜勤帰りなので寝られない」
「病気なので困っている」「寝たきり老人がいるのでつらい」「病人が眠れずに、このままでは死んでしまう」「頭が痛くてノイローゼになってしまいそうだ」「落ちそうで怖い」「イライラする」「撃ち落としたいくらいだ」
「(政府による)防音工事をしても効果がない」「なんとかやめさせて」「国の役人を呼んでこい」「国はアメリカになめられている」「安保を認めている立場だが、この音は許せない」「なぜ大和市民だけが苦しまなければならないのか」「我慢の限界だ」
神奈川県が集計した厚木基地周辺12市と県への苦情件数は、2005年度で5373件。大和市だけでも2006年に1525件の苦情があった。
2000年に神奈川県が、大和市や綾瀬市など厚木基地周辺6市の住民(無作為抽出の1万人)を対象におこなった「厚木基地周辺生活環境調査」のアンケート(回収率28%)でも、難聴、耳鳴り、頭痛、目眩、肩凝り、血圧の上昇、動悸、全身のだるさ、寝付きが悪い、精神的に不安など、騒音による心身の不調を訴える答えが続出している。
また、騒音の影響として7割から9割の人が、「会話のじゃまになる」「テレビや電話の音が聞きとりにくい」「読書や考えが妨げられる」「くつろげない」「イライラしたり腹が立つ」と答え、5割強の人が政府による住宅防音工事の効果がないと感じている。
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