【現地入りできない各社は外国メディアに情報を依存。「8人が米軍基地到着」と人質一部解放を各紙は大見出しで伝えたが誤報と判明した。(朝鮮日報 7月26日)】

アフガンにひとりもいない韓国人記者 (その1)
「日本のNHKによると」「朝日新聞によると」「ロイターによると」…。
アフガニスタンでの人質事件発生以降、韓国の新聞、テレビは日本など外国報道機関の報道を引用するかたちで、アフガンからの情報を伝えてきた。NHKの特派員がカブールからの生中継で刻々と人質事件を伝えているとき、韓国の新聞やテレビ特派員はニューデリーやドバイからの発信だった。

じつは韓国のメディアのなかで、アフガニスタン国内に入ってこの人質事件を取材してきた韓国人記者はひとりもいない。事件後、何人かの記者がドバイのアフガニスタン領事館にビザの申し込みをしたのだが、韓国政府が入国ビザを出さないようにアフガン政府に強く要請した。その結果、自国民が拉致されたのにも関わらず、韓国のすべてのマスコミは外信に依存しなければならなかったのだ。

「記者は一般の人より拉致される可能性が高い」とする政府の言い分は分からなくもないが、現場で記者が直接取材せず、外国のメディアの報道に振りされる韓国の言論はあまりにも情けなかった。
大手新聞の中央日報、東亜日報はアフガニスタン人を雇って記事を発信し、「本紙特約通信員の現地スクープ」として一面に記事を掲載してきた。これら現地通信員は仮名で記事を書いていた。私は当初、安全上の配慮ゆえのことだと思っていた。だが、ハンギョレ新聞は、彼らは特約通信員などではなく、外国メディアのスタッフとして働いている現地人だと伝えた。

他の外国メディアで働くスタッフを一時的に「拝借」しているのに過ぎないのに、あたかも自社スタッフによる特ダネかように報じてきた大手紙。仮名にして現地スタッフの「身元」を伏せたのは、かけもちがバレないようにするということにくわえて、報道合戦の中で「独占取材」や「スクープ」と大迎に見出しを打ったことに、じつは後ろめたさがあったのではないか。それが仮名にした理由だったのだろうとも感じる。

確認されていない外国の報道を、先を競って引用することで、誤報もあいつぎ、混乱が広がるなどの問題も起きた。自身が現場に入り、自分の視点で独自取材を競うような、いい意味での競争原理は働かなかった。
(続く)
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