ブッシュが北朝鮮をテロ支援国から外す日 (2007/09/03)
今年もあと4か月。対北朝鮮政策をがらりと変えた米国が、金正日政権と関係改善するかどうか、その゛本気度゛のメルクマールとなるのが、年内にテロ支援国指定解除に踏み切るかどうかである。
【軍部隊を視察中の金正日総書記。朝米協議の行方は目が離せない】
日本人拉致問題の解決なしにテロ支援国リストから外すことがないよう、小泉・安倍政権は、米国にずっと求め続け、ブッシュ大統領もそれに応じてきた。
ブッシュ大統領自ら、横田めぐみさんの両親ら拉致被害者家族と面談して、支援の姿勢を国際社会に強くアピールしたしてきた。
北朝鮮に強い圧力を加えて拉致問題を解決させるという安倍政権の戦略は、米国の強力な後押しがあってこそ、国際社会の中で一定の効力を持ち、孤立することもなかった。
ところが、それも今は昔。米国はがらりと方針を変えた。4月末に出た米国務省の「テロリズムに関する国別報告書」の中で、米国政府は、今年2月の朝米協議で北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する作業を開始することに合意した、とはっきり書いた。(http//www.state.gov/s/ct/rls/crt/2006/)
さらに、5月の安倍首相訪米時、ライス国務長官ら高官は、
「テロ支援国指定解除は米国内法の問題であって拉致問題は解除の条件ではない。ただし、すぐ解除することはない」
と述べている。
これらの行動と発言から、北朝鮮が核無能力化プロセスを進めていくのであれば、米国はテロ指定国解除に踏み切ることを、さほど高い代価とは考えていないということがわかる。
北朝鮮は20年前にリストに入り
そもそも北朝鮮がテロ支援国家に指定されたのは1988年。87年の大韓航空機爆破事件を起こしたことによる。
以来、20年連続でリスト入りしているが、テロ支援国指定の理由のひとつに、よど号ハイジャック事件の容疑者を匿まっているこことが明記されている。
そして言うまでもなく、赤軍派よど号グループは、有本恵子さんらの拉致に関わった疑いが濃厚である。
米国がテロ支援国指定を解除するということは、拉致問題に対する外交的重要度を、米国が明確に格下げするということに他ならない。解除されると、安部政権にとっては手痛い外交失点になる。
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