「軍が制圧」? 厳戒下の国慶~その1
【市中の道路を走るタンク】
総統府上空を編隊飛行の戦闘機が横切り、キャタピラを響かせて幹線道路を重量級のタンクが走り回る。台北市内は、いっとき、物々しい雰囲気に包まれた。
すでにこの世に存在しないと公言する「中華民国」の建国を祝う大会。さらに中国や北朝鮮を思わせる総統府前での軍事パレードと閲兵式。
台湾民主化が進むなか、独裁時代の遺物となっていたこうした軍の示威行進を復活させた陳水扁総統の真意はどこにあるのか。
その妻も婿一家も汚職やインサイダー取引で被告となっている陳水扁総統に世論の支持はない(婿とその父には第二審で有罪判決)。
【都心は厳戒態勢。前線を視察する警察トップ(侯友宜警政署長】
それを許しているばかりか、党首の席に再び座らせようとしている与党民進党にも秋風が吹いており(10/11党主席復帰を宣布)、最近も元国会議員で結党当初からの古参幹部が離党したニュースが報じられた。
名分のない「国慶」行事に反対の声も高く、総統は五千名の警官を動員して市内を封鎖し、さらに屋上に狙撃手を配置して、身の安全をまもらねばならなかった。(つづく)