米軍機と自衛隊機の騒音に悩まされる厚木基地周辺の住民からなる、厚木基地爆音防止期成同盟(会員約2000世帯。以下、厚木爆同)も、防衛施設庁に対してNLP中止の抗議・要請をおこなった。
「本当にうるさかったです。政府の基地周辺対策による住宅防音工事をした部屋もありますが、効果はあまりないですね。上空を飛ばれると、会話もできません。NLPは米軍が通告してからやります。マスコミではNLPが注目されますが、普段の通告なしの通常訓練でも騒音はひどいんですよ」
と語るのは、基地の西側旋回コース直下の綾瀬市寺尾釜田地区に住む石郷岡〔いしごうおか〕直子(67歳)である。現在は主婦だが、以前は結婚式場のフロントで働いていた。厚木爆同の会員で、厚木基地騒音公害訴訟の第3次訴訟原告にもなった。
「3年ほど前、保育園児だった孫が園庭のブランコに乗って遊んでいたら、米軍ジェット機が飛んできて、爆音に驚いた孫は思わずブランコから手を放し、両耳をふさいだため、落ちて頭を打ちました。すぐに医務室で手当てを受けましたが、普段から爆音に怯えて両耳をふさぐ癖がついていたんですね。
基地の周りに住む幼児の多くが、こうした癖をつけています。いえ、つけさせられているんです。爆音は違法の判決が何度も出ているのに、いまなお小さな子どもたちが爆音に脅かされているのを見ると、胸が痛みます」
(文中敬称略) つづく
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