ネパール滞在14年、小倉清子が現地から送る激動のネパールの深層報告
21世紀のネパールの山村に出現した毛沢東主義者の闘志たち。その勢力は瞬く間に伸張し、今やネパール政局を動かすまでになった。徒歩で山越えして支配地区に取材に入った小倉の眼に、マオイストたちはどのように映ったのだろうか。
ネパール マオイストの肖像 小倉清子
第2回 ロルパのマオイストとの出会い
これから、何回かにわたって、ロルパで会ったマオイストや村人たちのことを書いてみたい。私が最初に"本物"のマオイストと交流したときの話は、以前、ブログ
(http://blogs.yahoo.co.jp/nepal_journal/41354674.php)にも書いたことがあったが、ここでは、ロルパのお話しを中心にしたい。
(編集者注:ロルパの位置がわかる地図は特集ネパール1にある)
まず最初は、サントス・ブラ・マガル。
マガラート自治共和国の"首相"を努めたタバン出身の、ある意味、典型的なロルパのマオイストである。
私がサントス・ブラと初めて会ったのは2003年2月、ルクム郡チャウリジャハリでだった。
マオイストの大きなプログラムが終わったあと、バザールにある教師の家で、私は彼とルクム郡人民政府の議長に選ばれたサルン・バタ・マガルとともに、食事をする機会があった。
自家製のヨーグルトがついた、とても美味しいダル・バートをいただきながら、私は彼らとさまざまな話をした。
このとき、サントス・ブラが突然、私に聞いたのである。
「あなたはマオイストですか?」
もちろん、私は「違います」と答えた。
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