クルディスタン 山をおりるとき~(1) 写真・文 玉本英子
「スラーヴァ、シェヒダン(殉死した同志に捧げ銃)!」
朝7時、朝もやのなか、号令が山に響く。
ザクッ、ザクッと、行進する足音とともに、砂煙が舞い上がった。
かれらはクルディスタン労働者党(PKK)に所属するクルドゲリラだ。
PKKはクルド解放を掲げ、20年にわたりトルコ軍との戦闘を続けてきた。
いまもイラク北部の山岳地帯に5000を超えるクルドゲリラを展開している。
クルド人はトルコ、イラク、イラン、シリアにまたがる地域に暮らす民族だ。
自分たちの暮らす大地をクルディスタンと呼んできた。
クルドの大地は豊富な資源の存在ゆえ、つねに周辺諸国の支配下にあった。
各地で起きたクルド民族運動はことごとく弾圧されてきた。 (つづく)
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(初出 04年)