爆音のない静かな空を!
~厚木基地周辺住民、半世紀の訴え~ 第15回 【吉田敏浩】
米軍機の低空飛行に関する日米合意は守られているか
1990年代後半からの、各地の住民と自治体による政府や米軍に対する抗議運動もあって、1999年1月、日米両政府は在日米軍の低空飛行訓練について、以下の通りに合意した。
1.人口密集地域や学校・病院など公共施設に妥当な考慮を払う。
2.日本の航空法と同じ最低高度基準を用いる。
3.定期的に訓練区域の安全性評価を点検する。
4.飛行経路の研究と機体の点検を念入りにおこなう。
5.週末及び日本の祭日は原則として飛行しない。
この日米合意が交わされて以後、低空飛行の回数は次第に減り、高度も全般的に高くなった。しかし、イラク戦争が開戦した2003年から2005年にかけては再び増加し、無謀な飛行も目立った。日米合意は遵守されないのが実態である。
たとえば2003年6月に、広島県東城町(現庄原市)の郵便局兼住居の太陽熱温水器が米軍機の低空飛行の衝撃波で破損した。同年9月には、広島県西城町(現庄原市)の役場や病院や学校のある市街地上空を高度約70メートルという超低空で飛んでいる。
広島県北部は中国山地上空の低空飛行ルート下にあたる。
広島県は市町村からの米軍機目撃情報を集計しており、2004年度は11市町で目撃実日数180日、目撃件数延べ694 件だった。そのうち週末や休日の目撃実日数と目撃件数が、16日と延べ30件で、前年より大幅に増えていた。
広島県は毎年、外務省と防衛施設庁に対し、「低空飛行の実態を明らかにし、県民が生活する地域での訓練を止めるよう、米軍に申し入れること」を要請してきた。
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