島根県西部の益田市や江津市などの上空は、自衛隊から米軍に又貸しされた、通称「エリア567」という訓練空域で、主に岩国基地の米軍機が低空飛行や空中戦訓練、対地攻撃訓練などをしている。
島根県も在日米軍機の飛行状況を記録し、まとめている。2005年1 月~6月は、7市町村で飛行音や機影を確認した延べ日数が140日、延べ回数が241回だった。
特に同年6 月3 日には、江津市の桜江中学校上空で米軍機2 機が低空旋回し、轟音で授業ができないという苦情も寄せられた。
同中学校では前年の3 月に、米軍機の衝撃波で窓ガラスが破損している。
島根県も毎年、外務省に対して「低空飛行訓練の中止が講じられるよう」要請してきた。
このように低空飛行に関する日米合意は厳守されない。ところが、米軍側は一貫して「日米合意を遵守している」と主張してきた。日本政府も「そう認識している」と繰り返すだけで実態調査さえもしない。
外務省北米局日米地位協定室に聞いてみた。
「低空飛行訓練は日米安保の目的のため技能を練成し、戦闘即応体制を維持するために必要だ。安全面に最大限の考慮を払い、地元住民への影響を最小限に止めるよう、政府は米国側に機会を捉えて申し入れている」との返答があった。
「年に何回申し入れているか」とたずねたら、「その頻度は国会でも答弁していないので答えられない」という言葉が返ってきた。
ここにも日本政府の米国追従が表れている。
つづく
(文中敬称略)
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