爆音のない静かな空を!
~厚木基地周辺住民、半世紀の訴え~ 第19回  【吉田敏浩】

【住宅街の上を飛ぶ自衛隊P3C対潜哨戒機.JPG 】
【住宅街の上を飛ぶ自衛隊P3C対潜哨戒機.JPG 】

様々な住民の声
静かな空への望みは、厚木爆同の会員に限らず、基地周辺住民の間に広くある。
例えば、大和市(人口約22万)では1984年以来4回、市内の自治会が中心となり市民による「航空機騒音の解消」や「NLP の硫黄島全面移転」の要望署名活動がおこなわれ、毎回10万人弱から12万人強の署名が集まった。

同様の署名活動は綾瀬市(人口約8万)でも1987年以来2回おこなわれ、それぞれ5万人強と6万人弱の署名が集まった。
私は爆音が激しい大和市上草柳〔かみそうやぎ〕地区を中心に半日かけて歩き回り、散歩中や買い物帰りの人たち、玄関前や庭にいた人たちなどにアトランダムに話しかけ、住民の意見を聞いてみた。

40人に話しかけて、27人(男性17人、女性10人)が応えてくれた。
年齢は30代から70代まで。大半が60、70代の高年層だった。そのうち厚木爆同の会員が3 人いた。響きわたる爆音で、会話はしばしば中断された。
「長く住んでると、もうどうも思わないね」という老人を除いて、みんな「爆音はうるさい。静かになってほしい」と口をそろえた。
「テレビや電話が聞こえない。会話が中断する」

「頭痛や耳鳴りがする。いらいらする」
「一時はノイローゼみたいになって体調も崩した。でも、家も建てたし、子どもも転校させたくないから、我慢するしかなかった」など、悩みを訴える人が多い。

「うるさいが、慣れてしまった面もある」との発言も多かった。
「基地はなくなった方がいい」「できればない方がいい」という人がほとんどだ。しかし、その多くが次のように述べた。
「国のやっていることだから、どうせなくならない」
「米国は基地を手放さない」

「冷戦も終わり、米軍基地の必要性はもうないと思うが、日米安保がある以上、なくならないだろう」
「基地は必要悪というか、やはり日米安保は必要なので仕方ない」
「基地は必要だという政府の言い分は理解できる。周辺住民へのしわ寄せは確かにあることはあるが」
長年変わらない現実の前に一種のあきらめを感じているようだ。
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