爆音のない静かな空を!
~厚木基地周辺住民、半世紀の訴え~ 第20回 【吉田敏浩】
空爆について米軍パイロットは「ただ仕事をするだけです」と言った
2007年3月31日(土)、厚木基地で米軍主催の「日米親善桜祭り」が開かれた。
年に数回しかない基地開放日である。カメラを手にした航空機マニアの若者、若いカップル、子ども連れの家族、中高年のグループなど、約2万人が訪れた。
その多くは横浜や東京など地元以外の人たちだといわれる。
FA-18 戦闘攻撃機やEA-6B 電子戦機などが展示され、人だかりがしている。
機体の前で、米軍パイロットたちが訓練飛行中に撮影した映像DVD や写真、飛行隊のロゴ入りTシャツ
などを売っている。
緑色の飛行服を着た20代から30代の米軍パイロットたちと、飛行機を背に記念撮影する人が後を絶たない。
笑顔をふりまくパイロットと一緒に、子どもから大人まで、みんな笑顔やVサインで写真に収まっている。
対潜ヘリコプターの操縦席や機関銃座に座っての撮影には行列までできている。
イラク戦争での空爆について知らないか、知ってはいても何の疑問もわだかまりも感じていないのだろう。殺人と破壊のための兵器に対して、実感も湧かず、想像力も働かないのかもしれない。
撮影を終えた子ども連れの若い母親に話しかけると、目の前の米軍機とイラク戦争の関係について知らなかった。別の若い父親は知ってはいたが、「どう思いますか」と聞くと、戸惑いの表情を浮かべ、考え込んだまま黙って立ち去った。
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