生涯賃金はテレビ局社員の五分の一以下

【画面左にデモを取材中の長井健司氏の姿が見える(映像:DVB)】
そもそも長井のようなスタイルで仕事をするフリーランスはどのくらいいるのであろうか。

「長井のような」というのは、小型ビデオや(スチール)カメラで国際紛争などの取材を行う映像(ビジュアル)ジャーナリストを指す。

「自称」ではなく、実際にテレビのニュース、ドキュメンタリー番組や雑誌、単行本などを仕事場とする人たちのことだ。
私の周囲で思いつく名前を挙げてみる。

「DAYS JAPAN」編集長の広河隆一、日本ビジュアル・ジャーナリスト協会会員所属の土井敏邦、森住卓、豊田直巳、桃井和馬たち。ジャパンプレスの佐藤和孝、山本美香。アジアプレス・インターナショナル(以下、アジアプレス)の石丸次郎、古居みずえ、玉本英子、綿井健陽、渋谷敦志たち。

ビデオ・ジャーナリストの神保哲生、その他、遠藤正雄、宮嶋茂樹、村田信一、亀山亮、バンコク在住の後藤勝など。山本宗補と宇田有三はフォト・ジャーナリストとして、長年ビルマ報道に携わってきた。
この他にも、いちいち名前は挙げないが、旧ユーゴ、イラク、アフガン、パレスチナ、チェチェン、スーダン、ソマリアなどで活躍したフリーランスもいる。結局のところ、映像ジャーナリズムの分野で実績を重ねている、おもなフリーランスの数は、20数名といったところだろうか。

彼らは何らかの組織に属してはいても、いわゆる雇用契約を結んでいるわけではない。例えば私の主宰するアジアプレスの場合、事務所の雑務を担う数人の専従スタッフを除けば、メンバーの全員がフリーランスであり、アジアプレスは彼らの仕事の支援を行う。

これらのジャーナリストたちの名前を挙げながら、改めて思うのは、年齢層が高いことである。20代はひとりもいない。私の実感では、フリーランスを選択する若い人たちはここ十数年で激減している。何故か。理由は経済的なメドが立たないことに尽きる。アジアプレスでも、20代のメンバーはやはりゼロである。
(敬称略)  (つづく)

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