ビルマ潜入紀行~東南アジア最後の軍事独裁国家からの報告
59回目の独立記念日(中)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
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【国営紙に「新しい道路が完成」」と載る。その道路建設には、炎天下で働く女性や子どもの姿をよく見かける。写真は、国営紙に載った町の建設現場】
「日本からです。ビルマ国内をあちこち旅行しています」
しばらく話を続けていくと、彼は、学校の英会話の授業で最優秀賞を取ったという。
できれば外国人相手に英会話の練習としたいと誇らしげに語る。

船の中は退屈きわまりない。
彼と世間話を続ける。
私は冗談で、「実はね私、生まれたはピィ(ラングーンの北へ約6時間)なんですよ。
生まれてすぐに米国に渡ったので、ビルマ語も話せないし、自分の国のことはあまり知りません。
これから里帰りなんですよ」と。

彼は、驚いた顔をして、「本当?」と問い返す。
周りで耳をそばだてていたビルマ人も、びっくりした様子だ。
冗談が通じたみたいだ。
すぐに私は彼の耳に顔を寄せて囁く。

「私のどこがビルマ人に見えますか。冗談に決まっているでしょう」
彼は、一瞬あっけにとられ、ハハハ、と笑う。
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