遠くの農村から清津市に女性農民が薪を売りに行っている。 すでに40里(約16キロ)も歩いているのだが、ここからさらに40~50里歩かなければ目的の市場に到着しないという。疲弊した農村には売るものが山の木や山菜ぐらいしかない。対策のないまま深刻さを増していく無理な樹木の伐採が、洪水が頻発する最大の原因になっている。 (05年4月 リ・ジュン撮影)
遠くの農村から清津市に女性農民が薪を売りに行っている。
すでに40里(約16キロ)も歩いているのだが、ここからさらに40~50里歩かなければ目的の市場に到着しないという。疲弊した農村には売るものが山の木や山菜ぐらいしかない。対策のないまま深刻さを増していく無理な樹木の伐採が、洪水が頻発する最大の原因になっている。 (05年4月 リ・ジュン撮影)

 

鉄橋は流され、線路だけがぶら下がっていた…

2006年8月、記者シム・ウィチョン(沈義川)はこの年7月の集中豪雨の被害状況を取材するため、被災地域の住民に集中的に会いインタビューした。
軍事服務時代に部隊長だったオ同志(オという名前の友達)とは、平安南道江東郡にある村の旅館で会った。
オ同志は除隊後、故郷の江東炭鉱で労働者として働いていた。

この記事は2006年7月に発生した水害の被害状況を集中的に取材した内容だが、2007年も同じ地域で水害が再発しており、年々構造的問題へと化していく北朝鮮の水害問題を理解する一助になると判断して、この記事を掲載することにした。

大雨は韓国や中国東北など周辺の国々でも毎年降るのだが、なぜ、被害が北朝鮮だけで大きいのか、被害の復旧対策をしっかり立てられない理由は何なのかなど、北朝鮮の水害問題を考える材料になればさいわいである。
(注:平安南道江東郡は平壌市の北東郊外にある。)

シム:江東も大変なんだな? 今の状態はどうだい? もう下(「アレ」。北朝鮮で南を指す言葉)でも大騒ぎだし、世界的にも報道されてるんだと。「苦難の行軍」の時のように、飢え死にする人々がまた出るんじゃないかと言ってるらしい。
オ同志:私がここに来るだいたい一週間前に、私が住んでる所で水害がありました。

「ここの被害はどうだ」「あっちはこうだ」という噂はいろいろあるが、具体的にどれほどなのか、どうなったのかはっきりと発表されないので分らない。
とにかく、全国的には信陽郡と陽徳郡の被害が一番大きいそうです。
シム:君の江東はどうだった?
オ同志:平壌市では江東が被害が一番大きいという。
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シム:平壌の方から見ると江東の被害が一番ひどかったってことか?
オ同志:はい、江東が行政的に平壌に属するが、平壌市内は水害がそれほどでもないので、郊外の江東郡に水害がひどかったと言っている。

シム:だけど、南朝鮮の報道では大同江が氾濫して平壌市内に水害があったって強調してたけど…。
オ同志:大同江から見ると江東が上流で市内が下流でしょう。
大同江上流と沸流江、南江が平安道陽徳、信陽から始まって平壌を通って黄海にでますよね。

だから平壌は被害があったといっても全部流されたとかそういうのでははくて、水に少し浸かった程度です。
2~300ミリくらい浸かったとか言ってましたね。
金日成広場の前なんかに少し水があふれたらしいですが。
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