出発前に白い豆腐を食べると、厄払いになると言われており、どうせなら良いと言われていることはなんでもやってみようと、集まって一緒に食べる約束をしたのだった。
「ねえ、輪になって座って豆腐だけ食べるなんて、なんだか変な感じやね」
クムニョの言葉に、ウンシムがにらみながら釘を刺した。
「商売が成功するためなのに何が変なのよ?」
「だけど、豆腐を食べれば本当に商売がうまくいくんやろうか?」
クムニョが、今度は鋭い質問を投げかける。
皆がしらっとしながら白い豆腐を口に運んでいると、洞(町)の女性同盟のアコーディオン奏者であるスッキが
「豆腐を食べたら商売がうまくいくんじゃなくて、商売がうまくいくというから豆腐を食べるんじゃないのかい」
と、半信半疑の様子で答えると、豆腐を食べていた面々は、ぎこちなく笑った。
「それならあんた、こんな大仕事を前にして、豆腐を食べないでいられるの?」
さばさばした性格のウンシムが、豆腐をごくっと飲み込んで、クムニョを責めるように問いかけた。
「食べないのかって? あんたたちの倍、食べるわよ。私にもう一丁ちょうだい!」
そう言うと、食べていた豆腐の皿をヨンオクの前に突き出した。
一同から笑いが噴き出した。
記者ベク・ヒャン(白香)が2005年1月に提供した情報をチェ・ジニ(崔真伊)が整理した。
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