【首に環をつけるパダウン族(カヤン族)の女性たちは観光客の人気の的。風変わりな習俗の彼女たちの家に行ってみると、現代を象徴する衛星放送のパラボラアンテナがあちこち立っている】
「訪問しても良い理由」:現地の人の大多数は外国人の観光客を歓迎している/外国人の訪問は、現地の人の数少ない収入源であり、また外部世界との関わりの手段でもある/外国人がいるところでは人権侵害は起こりにくい/政権の収入となる強制両替が廃止された/観光客の支払うお金も、(観光客が)気をつければ、80%が民間人の所に流れる/観光客が来なくなれば、軍事政権は人びとへの抑圧を強めるおそれがある。
旅行者向けのガイドブックだとはいえ同書は、目次を含めて全404ページの中で、この冒頭の部分に13ページを割いている。
できるだけ政府関係のホテルや公的な交通機関を避けるための情報も掲載している。
さらに、ビルマからそれぞれの観光客が自国に帰国した際、ビルマ国内旅行で得た最新情報を、ビルマ軍事政権にお金が流れないように、"Lonely Planet" の新しい読者と情報を共有しようと呼びかけている。
この1章をじっくり読めば、観光客として入る外国人が、ビルマにどう影響を及ぼすのか、単純にビルマにエキゾチックな場面だけを期待している人でさえも、ちょっと考えさせられる。
【ビルマ移動中、シャン州の州都タウンジーで見かけた、軍事政権による政治的プロパガンダの看板。これを目にする、ビルマ文字を理解できない観光客の多くは、面白い丸文字とだけ解すのだろうか。それとも、軍事政権の政策に何かを感じるのか】
一方、日本で出版されているガイドブックには、主に旅行のノウハウだけが書かれているだけで、ビルマを観光することがどういうことを意味するのか考える機会はほとんど期待できない。