「8.3 納入金」を払ったというのに、鍛錬隊の幹部たち無頼漢は
「国家は『8.3納入金』はダメだと言ってきた。それでも不法行為をして職場をサボっている」という理由でトクスを逮捕しようとしているわけだ。
だからトクスの家族はもちろん、近所の人たちまでもが、大勢集まって騒ぎになったのだ。
「金を稼いで『8.3』をちゃんと払うことが、法律に違反する悪いことなのか?」
「金を稼げなければ、泥棒でもしないと生きていけないやないか」
「力もない弱い者ばかり捕まえてゆするのが鍛錬隊だ」
たまった鬱憤を晴らすかのように次から次に出てくる、人々の声を聞いていた平壌から来た義弟は、可笑しさをこらえるようにして言った。
「それじゃ、誰もが『行くぞ部隊』に行くことになるじゃないか?そんなんで鍛錬隊に行く人なんかいるの?」
「ははは!」
「タダなら洗濯糊でも飲む」と言われる「行くぞ部隊」の連中は、トクスの妻が渡したタバコを懐に投げ込むと、いかにも、今日は目をつぶってやるという態度で、その場を立ち去って行った。
その場に集まっていた人たちが、やれやれ済んだと言いながらばらけて行くのを見て、義弟は私の妻に尋ねた。
「姉さん、鍛錬隊に行ったら何かする仕事はあるの?」
「連れて行くのも、連中は金儲けのためよ。連れて行かれたら、金を払って出てくるわけよ。捕まっても3ヶ月経たずに出てくる」
「俺たちは、いつから金、金って言うようになったんだろうね?」
義弟の嘆息混じりの言葉に誰も返事をしなかった。そして、私たち3人の視線は、妻がまだ握ったままのしゃもじに集まった。そのしゃもじには、かちかちに干からびてしまった黄色いトウモロコシがくっついていた。
資料提供:記者 沈義川(シム・ウィチョン) 2006年8月
(整理:チェ・ジニ)
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