「歴代総統への評価」
【台北市内の旧国民党本部。中国国民党は日本が残した資産をそのまま私物化して懐を肥やしたと民進党は批判を強める】
大戦後、台湾において「総統」という地位についた人は五人。
蒋介石(大陸より渡来– 1975)、厳家淦(1975 – 1978)、蒋経国(1978 – 1988)、李登輝(1988 – 2000)、陳水扁(2000年 – 2008)で、前四者は中国国民党籍、陳水扁だけが民主進歩党籍、また前三者は大陸出身、後二者が台湾出身者である。
このところ、陳水扁現総統が、中国国民党独裁時代、とくに蒋父子の威光を薄めるのに躍起になっていることから、皮肉にも最近は住民の間で台湾戦後史への関心が高まっている。
昨年末、当地主要紙「聯合報」が興味深い意識調査の結果を発表した。一般市民が歴代総統をどう評価しているかというものである。
まず歴代総統の台湾への貢献度。台湾にもっとも貢献があったと思う総統は誰か?という問いに対して、第一位は蒋経国で50%、第二位は李登輝の11%、ついで蒋介石の6%、最後が陳水扁の5%。厳家淦は蒋経国へつなぐワンポイントのセットアッパーという位置づけ。
日本の方には予想外の結果かもしれない。
あまり日本には馴染みのない蒋経国への信頼度がいちばん高く、意外に李登輝への評価が低いのである。
台湾メディアの調査なので妄信はできないが、この結果は、台北で暮らすわたしの実感とほぼ一致する。
わたし自身は台湾の民主化をリードした李登輝を歴史的に評価するが、日本の守旧派と結託したことなどで、台湾の若者たちの信用を一気になくしてしまった。
彼が台湾を代表する指導者などという宣伝を信じていたら、日本の進み行く道を誤ることになる。
むしろ李登輝の時代に加速された民主化・経済成長の基盤をつくったのは、蒋経国なんだという捉え方である。
たしかに現在台湾を支えている働き盛りが彼の時代に青春時代を送ったという背景もあるだろう。
そしてかつて「台湾之子」ともてはやされた陳水扁は、目の敵にしている「蒋介石」以下の評価なのである。
そして陳水扁のこの間の「蒋父子否定」政策に六割の市民が反対の気持ちをもっているという。
1月12日に迫った国会の改選。このアンケート調査の結果と同様に、民進党に大きな期待はできないという見方が大勢となっている。