「選挙速報」 - 3
【比例制の導入で多くの新党が登場したが、いずれも議席を獲得できなかった】
結果が確定した。
単に得票が確定したのみならず、不透明だった、台湾住民の「意志」が明確になってきたという点で、今回の選挙は歴史に残る。
思えば、ちょうど二十年前の1988年1月13日に蒋経国総統が亡くなり、台湾民主化の曙になったのである。私が台湾に来てまもなくのことだったので、感慨深い。
一世紀後、史家はこの二十年をどのように表現するのだろうか。
立法院確定議席(全113)。中国国民党81、民主進歩党27、その他5。その他は国民党に近い人たちなので、中国派が国会の四分の三を占めたことになる。
李登輝率いる台湾聯盟は議席ゼロ。李登輝の政治生命は、ここ台湾では事実上結束した。
民進党を中核とする台湾派は存亡の危機に立つ。
台湾時代の幕をおろす主人公になった陳水扁は党主席辞任を表明したが、これから主席のなり手がいるのだろうか。
会見する陳水扁の後に並んだ民進党幹部の顔は沈痛だった。しかしこんな真摯な顔を見たことがないような気もした。やはりどこか傲慢に事を進めてきたのだろうか。私もほんとうの敗因はわからないのだ。
五月に誕生する可能性がいよいよ高まった馬英九政権にとって、磐石の基盤ができたことになる。中国との直航実現など対岸のとの融和策がこれから一気に進むことになろう。
もしかしたら、中国政府からオリンピックもからんでおおきなプレゼントが届くかもしれない。
台湾史は明日から、大きく旋回することになる。しかし、街は平穏だ。