【仏教徒のパオ人の女性がパオ民族の記念日にパゴダに向かって手を合わせる】
自分の考えを自分で確かめるようにゆっくりと口を開いた。
「確かにビルマ軍事政権は嫌いだけれど、彼らは同じミャンマー人だし。う~ん、困ったなあ。どうしても答えを出さなければならないとしたら。仕方ない。ムスリムよりも軍事政権をとるよ」
びっくりした。
それほどまでムスリムが嫌いなのか。
この返事が気になり、後日、別のビルマ人女性1人、男性1人に同じ質問をしてみた。
が、その答えは同じだった。
「軍事政権は嫌いだけれど、ムスリムはもっと嫌いだ。自分の宗教中心だから」という答えだった。
敬虔な仏教徒であるビルマ人らしい答えだ。
ビルマの人は、経済的な支配を受けている中国を嫌っているが、それ以上にムスリムを嫌っている印象を受けた。
【ヒンズー教徒たちが「火祭り」の日に集まった】
仏教徒の僧侶とムスリム教徒がぶつかり合って負傷者が発生、というニュースを聞くことがある。
生活苦に陥った人びとの不満のはけ口をそらすために、軍事政権がムスリムの存在をスケープゴートにして問題を起こしている、という人もいる。
だが、ビルマ国内をあちこち動き回って、人口の4%のムスリムの存在をどこでも大きく感じた。
ビルマ人の生活感覚を通してのムスリム嫌いを感じてしまった。
民主化問題、民族問題に加えて、何かの弾みに宗教が大きな問題にならなければいいのだが。
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