女性同盟の糾察隊員が街角に出て服装や髪形の取り締まりをしている。(2006年5月 清津市にてリ・ジュン撮影)

 

初冬のある日、夫と道を歩いていた若い女性が糾察隊(注1)の取締まりに引っかかった。
彼女は脱北して中国で働いていた時、公安の目を逃れるために髪を茶色に染め中国朝鮮族を装っていた。しかし中国語がわからないために結局、捕まって強制送還されてしまい、郡の鍛錬隊(注2) に入れられていたが、金を掴ませてようやく釈放されたところだった。

茶色の髪を切れば囚人のように坊主頭になってしまう。そうすれば、中国でもらい損ねたままの数か月分の給料を受け取りに、決死の覚悟で数日内に中国に行こうと考えていたのに行けなくなってしまう。

それに、坊主頭では近所を歩き回ることもできないし…。それでずるずるそのままにしてきたのだが、運悪くこの日糾察隊に捕まってしまったのだった。
罰金を払えと言う糾察隊の取締員と、我慢の限界を超えた夫婦とが、ついに通りの真ん中でケンカをおっ始めた。

通行人たちがケンカ見物にざわざわと集まるなか、茶髪の女とその夫が一緒になって糾察隊に食ってかかった。
「俺たちはもう金を払って許しを得たんだよ!」
「罪もない自国民を捕まえるなんて、許されると思ってんの?中国の公安でもこんなことしないよ」
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