水かけ祭り (上)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
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【イラワジ河の川岸に粗末な家が急増し始めたのは2000年以降。経済的に困窮している人びとの存在が外国人の目にも入るようになってきた】
ビルマの旧首都ラングーン(ヤンゴン)。
表通りも薄暗くなった18時半過ぎ、パタパタと軽い音がするやいなや、ドーンという地響きを伴った落雷。とたんに激しい雨粒が落ちてきた。
ラップトップパソコンを立ち上げ、写真編集を始めた矢先だった。

やれやれ、やっと停電が終わり、通電したと喜んでばかりいられない。
パソコンの電源を、慌てて落とす。
数日前、ビルマの西端ラカイン州を訪れたとき、停電復帰直後に440ボルトの電流がコンセントに流れ、充電器を破損したばかりだった。
その時、宿泊先のホテルでは、テレビのブラウン管は飛び、蛍光灯をはじめとする電灯類のすべておじゃんになった。
どうやら安全装置が作動しなかったらしい。

もっとも電気事情は、ここラングーンも同じ。
高電圧のため変圧器が加熱で変形したこともある。
十二分に注意しなければならない。しかし、これだけ停電が続くと何もできない。

部屋のドアを通して聞こえてくる雨音は、建物や道路に跳ね返り、次第に大きくなっていく。
日照りが続き、日中、40度近い気温もこれで収まってくれるとありがたい。
もっとも、自然現象は正直だ少々早いが、これは雨期を告げる前兆かもしれない。
そう、この日は2007年4月28日。

ラングーンで今年初めての雨だった。
それから5月に入ると連日の大雨。
街は排水設備が老朽化しているため、池や湖が水没するまでになった。

2007年初めての雨に喜んでいた翌々日の正午過ぎ、再び落雷と豪雨に遭う。
雨合羽の用意をしていなかったので全身びしょ濡れ。
その雨粒の勢いは、まるで2週間前、ティンジャンでびしょ濡れになったことを思いこさせた。
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