水かけ祭り(中)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
IMGP4773apn
【全身ずぶ濡れになりながら、笑顔で水かけ祭りに加わる若者たち】
2005年の暮れ、理由をまったく明かさないでの突然の首都移転に誰もが驚いた。
国民の願いなどお構いなし。
何もかも、一方的に決められる。

それがこの国のやり方だ。
そのネピドーで2007年3月27日、恒例の「国軍の日」が祝われた。
新首都も海外の取材陣に初めて公開された。
私も、行こうかな、と思ったがやめた。

どうせ軍事政権の宣伝に一役買わされるだけだし、取材者ということでブラックリストに名前を載せられたら、それこそたまらない。
替えのいる大手メディアと違って、私は1人きりの取材者なのだ。
親しくしている『ミャンマーの新しい灯』の元記者に、首都移転の理由を聞いてみた。

「そりゃ、人びとのデモを恐れているからだよ。米国の侵攻から逃れるためだとか、王様気分のタンシュエ上級議長のわがままだとか、占星術のお告げだとか噂されているけど、ズバリ、1988年のデモの再来を危惧してるんだよ。当時のデモがあれだけ大きくなったのは、公務員の参加や兵士の参加があったからね。最近、生活の厳しさから、小規模ながら単発のデモが起こっているのは知っているだろう。状況はあの頃に似てきているよ」

そう、実際、この2~1ヶ月、報道されている回数は少ないけれど、生活苦からのデモが起こっている。
軍事政権下でデモをすることは半ば人生を棒に振ることを意味する。
もう生活に後がない、というところまで追い詰められている証拠だ。

それは、この数年来なかったこと。
物価の急上昇や停電の多さで、庶民は今まで以上に生活に不便を強いられている。
政府も国営紙でさすがにその状況を認めている。

だが、デモの件になると、「それは、外国の手先となった破壊分子が人びとを煽動している」と全く見当違いの見解を流し続けている。

★新着記事