「逆転勝」
投票日まで最後の日曜日となった16日はスーパーサンデーと呼ばれた。
両陣営は百万人大結集と号して、全島各地で集会とデモをおこなった。台北市内での双方のデモ行進に参加してみた。
総統府前の道路使用権を得た中国国民党・馬英九陣営は市の東部から西部に向っての大行進。終点の総統府前は、仁愛路・中山南路を含めて交通はすべて遮断され、数万の市民で埋まっていた。
国民党の与党時代、奴らは金で動員されているんだ評されていたが、野党になってもたいへんな動員力である。そしてみなの目は血走っている。
市内での集会をあきらめた民主進歩党・謝長廷陣営は台北から台北県板橋市への行進に切り替えた。しかし板橋まで歩くのを放棄した支持者も多く、みな新生南路一帯に陣取って、道行く人や車に支持を呼びかけていた。
民進党のシンボルカラーは「緑」。しかし彼らはあえて緑を捨てて、黒字に黄色のTシャツやステッカーを使用していた。スローガンは、「逆転勝」。
絶望とも見えていた選挙戦に僅かな希望の光が灯った。逆転勝ちも夢ではないという、捨て身の戦い。
その追い風となったのが、ラサの事件だ。謝長廷候補は、台湾をチベットにするな!と絶叫した。「虐殺事件」はまさに絶妙のタイミングで世界に報じられたといえる。