「ピリオッド」
投票日。朝は快晴だったが、午後からは曇り、夕刻から雨だという。嵐になるかもしれない。
午後六時頃には新しい総統が決定し、台湾の一つの時代にピリオッドが打たれることになる。
昨日、出会った人に「どっちに入れる?」ときいてみたが、謝長廷という人はいなかった。我々日本人が日常接する人は、どうしても日本や日本語とかかわりのある人になる。そういう人でも今回は「馬英九」という人が多い。
最後に家の奥方にきいてみると、( たとえ選挙権があったとしても )民進党には入れないだろう。この閉塞感がたまらないという。これにはさすがにショックだった。
二十年前あるいは十数年前、台湾に取材に訪れた人は、このあつかましくもチャーミングで、お調子者で楽天的な人々が台湾史の主人公になっていくのではないかと、胸をわくわくさせたことだろう。
しかしその期待は見事に裏切られることになる。というよりそうした期待そのものが、かつての宗主国ニッポンジンならではの傲慢な思い上がりだったのではないか。
ただ、いまだに中国を牽制するために台湾を利用しようというメディアがあることも事実である。そこから誤った台湾観が創出されていく。
近所の投票所を数箇所まわったが、投票は平和裏に順調に進んでいるようである。市場は人でごったがえし、空港や駅も帰省の人であふれているという。
米国在住の馬英九の娘二人も投票のために台湾に戻った。第一夫人は、「娘も台湾人です」と強調した。
馬英九のグリーンカード問題は、いまだにすっきりせず。
陳水扁総統は選挙視察の米国人に、誰が当選しても平和的に政権を移譲すると述べ、前回の自らの不穏な発言による波紋を消した。