6月19日の集会(中)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
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【NLD本部前。通りの向こう側では軍政の公安関係者や情報部員がカメラを構える】
NLD本部の前は4車線の道路である。
その道路を挟んで2つのグループが集まっている。
1つは軍事政権の側だ。

政府の情報部員・公安関係者。それに軍事政権の翼賛団体USDA(連邦団結発展協会)に動員された男たちが加わっている。
先ほどタクシーから目にした男たちはこのUSDA関係者である。
もう一方の側は、スーチー氏を支持する人びとや反軍事政権への意思表示するNLD関係者たちである。

NLD側の集まりの全体像を撮ろうとそのまま歩道を進んでいったら、数十人を超える軍の情報部員たちや警察関係者の間に紛れ込んでしまった。
無愛想な顔をした男たちから不審な目で見られてしまった。
たちまちカメラを手にした10人以上の男たちから、一斉にカメラのレンズを向けられてしまう。

あくまでも通りすがりの観光客として撮影しようと思っていたが、甘すぎた。
やられたらやり返せだ。こちらもカメラのシャッターを切る。
今度は軍政側の全体像を撮ろうとNLD側に行ってみた。

何枚かシャッターを切っていたら、顔見知りの現地ビルマ人カメラマンが寄ってきて、耳打ちしてくれた。
「向こう側に行かないほうがいいよ。軍政側のスパイと間違われるから」
先ほど私を取り巻いた軍関係者の物々しさににはちょっと脅威を感じてしまう。

ちなみに地元記者のほとんどは、NLD側に張り付いて取材をしている。
確かに、道路向こう側にいる男たちの存在は不気味である。
言葉にできない圧力がひしひしと伝わってくる。

ああやっぱりここは自由の制限された社会なのだな。胃がキュンと引き攣る。
今にも泣き出しそうな曇り空の下の9時過ぎ、民主化活動関係者が集まりはじめた。

スーチー氏の誕生日集会ということで、いくつか外国のメディアが来ていると思っていたが、その姿は全く見られない。

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