マンダレー管区の囚人たち(上)
※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署 名を「宇田有三」に統一します。
【刑務所の外へ労働へ出かける囚人たち。カメラを向けると笑顔で手を振ってくれたのには拍子抜けした。周りにいた看守は3人ほどでそれほど警戒厳重ではなかった】
その日、バイクタクシーの後部に乗って、イラワジ河の川岸を目指していた。
雨期だというのに空は晴れ上がり、遠く浮かぶ雲の合間には青空さえ垣間見えていた。
バイクを運転する50代後半の男性は、必要以上に安全運転で、それほどスピードを出さない。
私は、ヘルメットをかぶることなく自然の風を頬に受け、まるでツーリングを楽しんでいた。
バイクは10分も走ると、町の郊外に出た。
このマンダレー~パガン間の道路は、観光客用の道路ではない。
そのため半舗装の道路は、交通量はそれほど多くなく、地元の乗り合いバスやトラック、バイクが行き交うくらいである。
道路の両側は、ところどころで灌木と野菜畑の緑に混じって赤茶けた土地が広がる。
前方に Physic Nut Plants (ナンヨウアブラギリ栽培)の植樹園が見えてきた。
ビルマでは現在、ガソリンやディーゼルが急激に高騰し、ただでさえ苦しい国家財政をさらに逼迫させている。
そのため、代替としてバイオエネルギーを全国規模で展開させている。
地方に出ると、あちこちでこの植物の栽培を見ることができる。
バイクは、目の前に迫る大きな丘をゆっくり登り、曲がりくねった緩い下りに入る。
丘の向こう側に目をやると、道路の右側で働いている人の姿が目に入った。
10人くらいの人びとが、鋤を片手に道路脇の地面を掘り返していた。