北朝鮮が深刻な食糧危機に直面している、そんな報道がこの一月間に集中している。
国連食糧農業機関(FAO)は4月23日、北朝鮮を「食糧援助が必要な危機的国家」に分類し、今年は166万トンの食糧が不足すると予測。
世界食糧計画(WFP)も4月16日、同国に緊急食糧援助を行うよう国際社会に訴えでおり、5月13日から代表団を北朝鮮に送る計画だ。
実際のところ北朝鮮の食糧事情はどのような状態なのか?北朝鮮内部の取材チームから緊急調査の報告が届いた。
食糧問題に関する国内の動向を随時掲載していく。(整理 石丸次郎)
国連機関や支援団体・研究者が、今回の食糧危機の理由としてあげているのは
1.世界的な食糧価格の高騰
2.毎年大量の食糧支援をしてきた韓国に今春は支援要請をしていないこと
3.昨夏の洪水による食糧減産、などである。
何をもって食糧危機と判断しているのか、その指標は市場における穀物価格である(例えば4月30日米国のピーターソン研究所の発表http://www.petersoninstitute.org/events/event_detail.cfm?EventID=70)。
確かに、北朝鮮国内の食糧価格は急騰している。アジアプレスの北朝鮮内部のジャーナリストたちの取材によっても、3月以降の価格上昇は尋常ではないことがはっきりしている。
1月下旬の白米の価格が、地域によって若干の差はあるものの、1キロ1500ウォンほどだったので、現在の食糧価格の急騰ぶりは異常である。
今回は、4月末からの最新の価格の変動にポイントを置いた報告をしたい。
なお、食糧価格高騰の原因については、後日分析記事を書きたいと思う。
◆4月1日~15日
平壌
白米 2300~2500
トウモロコシ 1800~1900
平壌市は故金日成主席の誕生日の「太陽節」に一般住民に一人当たり約5キロの「名節配給」をして、価格上昇がいったん収まったという。
◆4月28日
咸鏡北道会寧市
白米 2300
トウモロコシ 900
ガソリン 4800
1ドル ー
1元 450
◆4月29日
咸鏡北道会寧市 清津市
白米 2400 2500
トウモロコシ 1000 1250
ガソリン 4800 4520
1ドル 3240 3300
1元 452 470
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