【中村さんはバムの要塞に向かう途中で誘拐されたといわれる】(FILE/バム市街/撮影:大村一朗)
中村聡志さん 8ヶ月ぶりの解放 (08/06/16)
約8ヶ月ぶりに中村聡志さんが解放された。
解放された今となっては、誰でも何とでも言えることだが、私は中村さんは大丈夫だろうと考えていた。なぜなら、どんなに拘束期間が延びても、定期的に「元気でいる」との情報がイラン側から伝えられていたから。
昨年10月以来、イラン・パキスタン国境地帯の厳しい自然の中で逃亡生活を送りながら、「元気でいる」というのは、心が萎えていない証拠である。どんなに若くても、心が萎えてしまったら、そうした厳しい環境の中では、すぐに身体も駄目になっていただろう。だから「元気でいる」ということは、犯人グループとうまくコミュニケーションを取りながら、若者らしい前向きさでがんばっているのだろうと推察していた。
中村さん解放の知らせに、イラン在住の邦人の間にも安堵と喜びが広がっている。日本でも、きっとこのニュースでもちきりなのだろう。しかし、当のイランのメディアは、腹が立つくらい無反応だ。
中村さん解放が発表された晩、国営ニュースチャンネルはこのニュースを幾度か報じたらしい。しかし、その翌朝、大手新聞の紙面には、中村さんの「な」の字も見当たらない。夕刊に期待をかけてみたが、結果は同じだった。この日、何人かのイラン人に、日本人解放のニュースを知っているかと聞いてみたが、ほとんどが誘拐事件そのものを知らなかった。
中村さんは今日明日にも帰国の途につくという。誘拐の様々な真相について直接聞いてみたかったが、それは遅かれ早かれ、ご本人の口からメディアを通して明らかになるだろう。
つまらないバッシングや誹謗中傷が今後起らないことを祈りたい。
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【関連リンク】
イラン「日本人学生誘拐事件」(1) 大村一朗 (07/10/12)
イラン「日本人学生誘拐事件」(2) 大村一朗 (07/10/12)