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【写真:ビルマ軍事政権のラングーンでの象徴でもある市庁舎前に止まる軍用トラック。デモ終結後一週間後、町中にはまだ兵士の姿が残っていたが、徐々に緊張感が和らいでいた】
翌週、マンダレーからラングーンに戻った。
燃料の値上げと抗議デモの様子を感じようと街中を動き回ってみた。

タクシーの料金は、いつも乗っていた距離で1000Kから1200Kへと「少し」だけ値上がっていた。
ガソリンやディーゼル、天然ガスが1.5~5倍へと値上がっていたのにちょっと意外であった。
その値上げ幅の少なさについて運転手にたずねてみた。

「政府の値段通りに値上げしてたら、客がいなくなっちゃうよ。自分の儲けをギリギリにまで減らしてんだよ」
ちなみにビルマの通貨は Kyat(チャット)である。
公式な交換レートは1米ドルが5.75K前後であるが、実勢のレートはなんと1米ドル=1350Kである。
ちなみに町中の食堂で焼きそばや焼き飯を注文すると、2003年末頃は600K前後だったのが、今は1300Kを超えている。
庶民の暮らしは確実に苦しくなっている。

そ一方で、SPDCのトップタンシュエ上級大将は2005年、推定数10億ドルという費用でビルマ中央部に新しい首都を建設した。
首都移転の本当の理由は、しかし未だに明らかにされない。
7年のつきあいのあるビルマ人と喫茶店で待ち合わせる。

「その日、バスが来なかったんだよ。10時半近くまで待ちぼうけだったかな。後で聞いた話では、バス公社への値上げの通達が前夜九時に来たそうだ。バスの乗車値段を上げるのか、それともそのままの値段で走らせるのか、バス公社は、どうやったらいいのか混乱した状況だったんだ」
8月の燃料費の値上がりの翌日のことである。
~つづく~

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