清津市のスナム市場で売られている中国延辺産の「味付け」。食品から衣料品、靴、雑貨まで、市場で売られる品目の大部分は中国製である。(2007年4月 パク・リョル撮影)
清津市のスナム市場で売られている中国延辺産の「味付け」。食品から衣料品、靴、雑貨まで、市場で売られる品目の大部分は中国製である。(2007年4月 パク・リョル撮影)

 

ジャンマダン(市場)では、しばしば「有害な中国製品が見つかった」ということで中国製品の販売禁止令が出される。しかし、まるで恒例行事になっているともいえるこのおかしな現象について、政府は中国政府と協力して解明するという気はないようだ。
二〇〇七年二月、記者コン・ヨンギルは、市場での実態を調べるために取材を行った。

五〇代の「女性1」は、普段市場で化学調味料「味付け」(注1)を売っている。三〇代の「女性2」は、同じ市場で薬を売っている。
話題は次第に「南朝鮮の謀略陰謀」に移っていく。

女性1 虫がわくんだってば。前にも話したでしょ? 「味付け」を入れて三〇分もすると、目に見えるか見えないかの小さな虫がわくんだよ。

コン・ヨンギル 中国製の「味付け」で?
女性1 そう。調味料は全部、中国から入ってくるでしょう。
で、そのことについて、国では何と言うてるかというと、朝鮮に輸出する商品を専門に大量生産する場所が中国のどこかにあるらしいんだけど、そこの中国人たちに「南朝鮮の安企部」(注2)が金を渡して「いいか、俺たちの言う通りにするんだぞ」って言って、薬を入れてると言うのよ。
だから、しょっちゅうこういうことが起こるんだって。実際そのとおりなんだから。虫がわーっとわくんだから。

コン 虫がどんなふうにわくんです?
女性1 大根を千切りにして塩漬けにしてから、唐辛子の粉と「味付け」と酢を入れて三〇分ぐらいすると、幼虫みたいな虫が出てくるのよ、ほんとに。前には冷麺にもそんなのが出てきて食べずに捨てちゃったわよ。

コン それで、調味料を売ってはいけないことになったんですね。
女性2 そうなのよ。私もいつも「味付け」を使ってたのにね。それにしても「味付け」まで使えなかったら、料理がまずくて食べられないな。ところで、どうして「味付け」かけたら、虫なんかわくのかしらね?

コン もしかしたら、それ、「味付け」じゃないのかも。「味付け」の味を出すために、身体によくない薬かなんか混ぜたとか?
女性2 前にも言ったと思うけど、小麦粉にガラスの粉が混ざってたことがあったのよ。買ってきた小麦粉からガラスの粉が出てきたんです。

女性1 小麦粉の袋の中に紙切れが入ってたのよ。「この小麦粉を食べるな」と書かれた。きっと良心的な中国人が入れたんだろうね。
中国のどこかの火山で、白頭山(ペクトゥサン)みたいに白い岩山なんだけど、安企部がそこの岩を粉にして小麦粉に混ぜたんだってさ。それを送ったっていうのよ。どこやらに山があるんだってさ、岩山が。
女性2 プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン剤)も、子供に飲ませようと思って、お乳に入れてスプーンで混ぜてると、小さな針が入ってたりするんですよ。
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