国際社会からの無償の支援米を、民衆はジャンマダンで金を払って買って食べているのだ。
この特権層による独占的な新ビジネスは、もしジャンマダンがなくて計画経済の配給制度が健在ならば成立しない。ジャンマダン抜きに莫大な利潤を上げることはできなかったはずである。

朝鮮に到着する支援米など各種物資が、港や国境税関を通って国内に入った後、どう処理されるか述べておこう。
一つは都市住民への配給用だが、これは単に国際社会に対して「ちゃんと分配していますよ」と偽装するに必要な量に過ぎない。
二つ目は、軍部や軍需産業従事者向けの配給用、そして各建設場の労働者(及び動員された労力)に送るものだ(だが、そこに送られた少なくない量が、中間幹部の不正蓄財用として、市場に横流しされていく)。

そして三つ目が、外貨調達会社が、外貨を出して支援食糧を買付け、市場に卸して流通させている形だ。当然、代価は外貨で受け取っている。
注意が必要な点がある。それは、ここまで見てきたような外貨調達ビジネスの持続が、朝鮮における「資本の初期蓄積過程」だとする見解の危険性だ(韓国の研究者の中に散見される)。

この見解は、朝鮮において「資本の蓄積」が改革開放の必要条件だとしながらも、外貨調達ビジネスそのものが「われわれ式社会主義制度」と先軍政治が存続することを前提としていることを深く考慮していない。

この見解の危険で単純な点は、そんなやり方で資本が蓄積していくことによって、朝鮮の政治のファッショ化と思想文化の(外部社会との)異質化が、さらに深刻化するという視点が欠如していることである。

言明するが、朝鮮の国民は、現在のような閉鎖体制を決して望んでいない。また、歪んだ形で「資本の蓄積」が進むことは、朝鮮半島と東北アジア地域の経済にとっても、中長期的には不利益をもたらすと思う。
(つづく)

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