南北対決のおかげでこれまで政治的、経済的に多くの利得を得てきて、「苦難の行軍」が始まるや「守れば勝利、捨てれば死」という意識を注入し、市場を通して人民大衆を絶え間なく搾取してきた保守特権集団にとって、「商売人が南朝鮮商品を利用し、敵に対する幻想を流布」させ「民心を動揺」させるのはいささかも妥協できない重大事案であるに違いない。

そこに一撃を加える絶好の機会が、まさに一〇月に行われた平壌南北首脳会談であったと思う。
「南朝鮮の大統領が来るから市場を閉鎖する、南朝鮮の報道に市場の様子が流された」
このように韓国に直接言及した今回の指示文が、果たして民衆の感情を韓国から遠ざけることに成功するのか、逆に、朝鮮の権力が韓国のパワーに恐怖を感じているという宣伝文になってしまうのか......。

それを決めるのは、少数の特権集団ではなく民衆であろう。
すでに時代は二一世紀である。対決と敵対が価値を生むのではなく、競争と協力が価値を生む現代においてさえ、古臭い時代錯誤から抜け出せない特権集団が、韓国に傾いた民心をどのような力で取り戻そうというのか。

それでも取り戻したいのであれば、何よりも民衆に対して負っている、食糧の未配給分の債務の返済から始めなければならない。
韓国に傾いてしまった民衆の心!
そこに恐怖と強い警戒心を持った特権集団の表現が、まさに先の指示文によく現れていると、私には感じられるのだ。
(おわり)

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