【各種の米が並ぶ米屋。客は手に取って香りを確かめて買ってゆく。イラン米は香りが命】(テヘランで/撮影:大村一朗)
イラン国内に見る食糧価格高騰(2) (08/07/04)
1年ほど前、テヘランでは洗濯機用洗剤が店頭から消えた。その後少しずつ市場に出回るようになったが、価格は以前の3倍近く跳ね上がり、十分店頭に並ぶようになった今も価格は下がらない。
砂糖が品薄であるとメディアで流され、騒ぎになったこともあった。トマトが品薄で通常の3倍以上の価格がしばらく続いた時期もある。そしてつい最近では、チャイ、つまり紅茶がなくなるという噂が流れ、人々が買いだめに走った。
小売店はそれに便乗して値上げしたが、それでも一人で何箱も買いだめする人の姿が見られた。結局、それも風評に過ぎないことがのちの判った。
もはや、どれが本当の品不足で、どれが人為的な風評なのか判別できず、次はどの業界が甘い汁を吸う番なのかと巷ではささやかれるまでになった。
人口1000万人の大都市で、一体どのようにしたら一人の人間が社会を混乱させるほどのうわさを広めることができるのだろう。
アフマディネジャード大統領は6月23日に行なったメディアとのインタビューで、経済マフィアのやり方について述べ、「国民はそれが誰だか分かっていると思う。だから私がそれをAさんとかBさんなどと名指しするつもりはない」と語った。
国民誰もが知っている人物。この国の経済を自由自在に操れるような大物。そう聞いて浮かぶのは、この国の実質ナンバー2であり、何かとアフマディネジャード大統領と反目し合っているラフサンジャニー師ということになるのだろうか。
「ラフサンジャニーだけじゃない。政府の中には情報を流用して、自分の利益にしている人間がいっぱいいるよ」
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