tama_05.jpg【棚が空っぽの食料品店。ツケで買い物をする住民が増えてきたため、現金が入らず仕入れができない(ケンディ地区)】

市北部のケンディ地区は治安が回復してきたといわれる地区だ。ヘルメットと防弾チョッキに身を包み、イラク軍兵士たちとともに路地を歩いた。住宅と商店が立ち並ぶ。通りにたむろする青年たちの冷たい視線を感じる。

「こんなところに日本人が来たのか?」
私の姿を見つけた商店の従業員やお客さんたちは目をまるくした。イラク軍兵士を前にして、人びとは政治的なことには口をつぐんだが、生活について聞くと口々に不満を訴えた。

「治安がない。電気がない。仕事がない」。アハメッド・マハムッドさん(35)の理髪店は、この1年で客が3割に減った。
「地区の男たちは週1回この店で髭を剃るのが習慣だったが、今ではみんな失業して誰も来ない」
(つづく)
(週刊金曜日掲載記事を加筆・修正)
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