小倉清子のカトマンズジャーナル~マオイスト内部で批判噴出
今日ようやく、マデシ政党と7党のあいだで“合意”が成立した。とはいえ、マデシ側は“完全合意”をしたわけでなく、“半分合意”をしただけ。
マデシ政党は暫定憲法改正案に記される言葉遣いに関して、彼らの要求を受け入れたことにならないと主張して、制憲議会の妨害を続けてきた。
しかし、今日の会合で、改正案にはまだ不満があるとしながらも、「これ以上、制憲議会の妨害はしないこと」で同意した。これを受けて、今日ようやく議会が再開した。
こうした政治展開の影で、マオイスト指導層内で、プラチャンダ、バブラム・バッタライのラインに対する批判と突き上げが強くなっていることが少しずつ表面化してきている。
今日の週刊紙「Dristi」によると、中央委員のなかで、最も過激な発言をすることで知られるゴパル・キラーティが、先日の制憲議会議員の集まりで、かなりストレートに“バブラム・ライン”の批判をしたようだ。
現在の“柔軟路線”を含めて、マオイストがこれまでにとってきた政治路線のほとんどは、実は、バブラム・バッタライの路線を踏襲している。
キラーティはこのバブラム・ラインの役目は終わったとして、新しい党路線を求める発言をした。
新しい党路線は、2003年以来、マオイストがとってきた「21世紀のニュー・デモクラシー」つまり、複数政党制民主主義の路線ではなく、「ジャナバディ」つまり、共産主義の路線であるべきだと、キラーティは最近の演説のなかで発言しているが、Dristiによると、キラーティの背後には、バーダル、キランらの強硬派がいるのだという。
統一共産党の党紙ともいえるDristiが書いた記事だから、すべての記事内容を信じることはできないが、マオイスト内で強硬派の意見が、抑えるのが困難なほど強くなってきていることは事実だろう。
マオイストは、かつて国王が率いる政府の閣僚だった産業界大物のパドマ・ジョティを制憲議会の議員に任命した。これについても、強硬派から強い批判の声が出ているようだ。
面白いことに、今日、王制を支持して選挙を戦った“極右派”の国民民主党ネパールのカマル・タパ党首が、「全面的にマオイストを支持する」とする新党方針を明らかにした。どういうつながりなのか。当然、大きな疑問が湧いてくる。