自転車を市場の中に入れてやるだけで。荷物を載せて運ぶためには、自転車を市場の中に入れると便利だからね。そうでなければ下した荷物を背負って中に運ばなければならない。一〇〇ウォンで自転車を中に入れられたら楽でしょう。
だから、この警備員は市場がなくなれば生活に困るでしょう。今、市場をなくすという話まで出ているけれど、大部分の人は反対ですよ。反対派の方がずっと多いんです。
庶民は何かひとつ買いたくても、どこで買えるというんですか。市場がなくなったら(公営)商店で買えとでも? まったく! 今、食料品商店には、国営食料工場で生産した酒、タバコ、ビールなんかが少し置いてあるけれど、売らないで見張りをしているだけですからね。
シム:販売はほとんどしませんよね。
クァク:そう。商店では、それでも平壌だと卵は出してくれるのです。市内は一か月に一人当り三個までで、一個当たり八ウォンでくれるんです。ジャンマダンだと一個二〇〇ウォンですよ!
チョン:そうだよ。
クァク:国定価格だから安いけれど、それで人々を充足させられるほどの供給量はないから、幹部たちだけが八ウォンで買ってるんです。そんなの、ジャンマダン価格を基準にすべきだ。私たちは二〇〇ウォンで買わなきゃならないんだから。
だから商店はお客さんが来て、買いたいと言われるのが一番嫌なんですよ。売るわけにいかないから。もう、うんざりだね。
(つづく)
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