職場に出ろとの対策は非現実的?
クァク:上の連中は「これまで十分商売したんだから職場に行け」と言っている。
けれど、職場に出ろというなら、工場に十分に電気が来ないといけません。やる仕事があれば工場にも行きますよ。でも電気がないから、結局、動きもしない工場に、国家が無理やり人を派遣しているようなもんです。
私の勤める工場でも、商売できなくなって人があぶれたら、その人員を「無条件でお前のところの工場で二〇人引き受けろ!」というわけです。けれど二〇人引き受けてどうやって食わすんですか?
チョン:そうだよな。生産計画だけが膨れるばかりだろう。
クァク:うちの工場の支配人が、われわれには引き受けられないと言ったら「何だと! お前、人を引き受けられないなら、お前、支配人辞めろ、降格だ」と言われたそうです。
私の知り合いでジャンマダンで野菜を売っていた人がいますが、今は仕方なくグラインダー工場に入りました。グラインダーというのは刃物を研ぐ、あの丸いのですが、あれを作る工場に入ったんです。でも、その工場では人が多すぎて縮小までしていたところなのに、そこに二〇〇人も放り込んだそうです。派遣状出して、入れろって。
チョン:えーっ?! それも政府の措置なのか?
クァク:そうなんです。これは方針なんです。「何があってもジャンマダンの商売をやめさせろ」これが将軍様の方針なんです。
そのグラインダー工場では、「今でも工場の生産できていなくて、人を外に稼ぎに送り出しているのに、二〇〇人も受け入たらどうなる?」と反発したらしいが、「関係ない! これは将軍様の方針だから執行しろ」ということになったらしい。
チョン:今で一か月半経ったけれど、突然いろいろ変わってしまったからなあ……。
(つづく)
注1 国営企業所は、従業員数や計画生産額、国家にとっての重要度によって級数が付けられる。特級、一級、二級が重要企業所で人事権を党が持つ。
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