二〇〇七年の一一月、シム・ウィチョン記者は編集部からの要請を受け、指導者である金正日将軍が、朝鮮内部でどのように見られ、語られているかについて継続して取材することになった。今回の取材対象は、シム記者が普段から腹を割って話をしている○○道のベテラン女性党員である。
党幹部も望む改革開放
シム・ウィチョン 秘書同志(注1)、先日中国へ行かれたそうですが、いかがでしたか?
秘書 中国の生活はあまりにも資本主義の影響を受けすぎてしまっていて、それほど良い印象ではありませんでしたね。首領様が生きておられた時に比べると、朝中関係も良くないですし。
シム 中国の一般庶民に対してもそう思われましたか?
秘書 とんでもない。一般庶民のどこが駄目なんですか? 中国の人民は何も悪いところが無いですよ。
朝鮮人も中国を羨ましがってるじゃないですか? 朝鮮も中国共産党のように改革開放をうまくやれば暮らし向きもよくなるとは思うんだけど......。それがうまくいかないのよね。
シム 幹部たちもそう思っているんですか?
秘書 そりゃそうですよ。このご時勢、幹部といえども、考えることは人民たちと同じですよ。
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